精油を安全に取り扱うにはどうすればいいのか、精油の定義をふまえた上で特徴と原料について勉強します。
【目次】
精油の定義を復習する
精油はアロマテラピーの基本となるもの、植物の花・葉・果皮・果実・心材・根・樹皮・樹皮などから抽出された天然素材で、高濃度の有効成分を含有している揮発性の芳香物質である。と、AEAJの定義には記されています。
精油は各植物によって含有する有効成分が異なっていて、それぞれに特有の香りと機能を持っています。
精油の特徴的な性質
芳香性…良い香りを放つ性質のこと。精油ごとに含まれる成分は異なっていて、それぞれに独特の香りをもっています。精油は「植物の香りのもと」です。
揮発性…空気に触れ放置すると少しずつ気体に変化すること。精油はビンの蓋を開けたまま放置すると気体に変化する性質をもっています。そのため、保管には細心の注意が必要です。
親油性…油によく溶ける性質のこと。脂溶性ともいいます。水や湯に精油を入れてみると溶け込まず表面に浮いて膜のようになって広がっていきます。精油は水や湯よりも軽く、また溶けにくい性質であることがわかります。
引火性…他からの火や熱が移って燃え出すこと。キッチンや火を使う場所で精油を使用するときには注意しなければなりません。
油脂との違い…油脂とは、ほとんどの場合、脂肪酸とグリセリンからできているものを指します。油脂である植物油(キャリアオイル)と同じようなものと考えられやすい精油ですが、油脂とは全く別物になります。
精油の安全性と成分変化
精油の安全性
精油は植物から得られる天然成分ですが、天然だからといって絶対に安全であるとは限りません。原料の植物に対してアレルギーを持っていればその精油を使うことは禁忌ですし、身体に疾患を持っている場合、使ってはいけない精油もあります。
とはいえ、精油は十分な知識を持った上でルールを守って取り扱えば、決して危険なものではありませんし、生活の質(QOL)をグンと上げることができます。
精油の成分変化
精油を保管するビンは遮光性のものを使っています。これは光や紫外線による成分変化を避けるためのものです。
また、精油は光だけでなく、時間の経過とともに少しずつ成分が変化していきます。空気に触れれば空気中の酸素と精油の構成成分である有機化合物が結合して酸化したり、有機化合物どうしが結合して全く違う物質に変化し、香りも全く違うものになってしまいます。
そのため、精油によっては最短2週間の消費期限のものもあり、長くても1年以内には使いきるようにして、保管や管理に注意が必要です。
精油の本質
植物が作り出す有機化合物
植物が光合成によって二酸化炭素と水から、酸素と糖を作ることを植物の一次代謝といい、このとき生まれたエネルギーを使って、様々な有機化合物を作り出すことを植物の二次代謝といいます。
精油は天然の化学物質である有機化合物が数十~数百種類集まってできたもので、植物の二次代謝産物です。
植物にとっての芳香物質の役割り
- 誘引効果…昆虫などの生物を引き寄せる効果。引き寄せられた生物は花粉や受粉した種子を遠くへ運んでくれます。
- 忌避効果…昆虫などの生物が近寄らない効果。摂食される事を避けるため、生物を遠ざけます。
- 抗真菌効果・抗菌効果…カビや有害な菌が発生するのを防ぐ効果。
精油の蓄えられる部位
精油は植物全体に含まれているわけではありません。花びらだったり、葉だったり植物によって様々です。
たとえばオレンジやグレープフルーツなどは果皮の表面に蓄えられていますし、ペパーミントやレモングラスは葉に、カモミールやジャスミンは花にそれぞれ蓄えられていて、その部位によって抽出方法も違ってきます。
精油の基礎知識【性質と本質】で学んだこと
知っているようで知らなかった精油についての基礎知識。一般的に雑貨屋さんなどに置いているアロマオイルを精油だと思っていましたが、どうやら完全に間違っていたようです。
知れば知るほど奥が深いアロマテラピーの世界に驚くことがたくさんあります。