日本では薬としての精油の使用が禁止されています。そのため精油によって心や身体に与えられるはたらきを効能効果と言ってはいけません。精油の作用と製造法について勉強します。
【目次】
精油の作用について知る
精油の作用
植物の二次代謝産物である精油は、植物ごとにその成分の違いがあります。それがその精油ならではの香りの特徴となっているわけなんですが、作用もそれぞれに違ってきます。
ある精油の香りはとても心地よく眠りにいざなわれるような感覚になり、また違う精油ではやる気が出てきてもうひと頑張りできそうな気持ちになります。この作用はほとんどの人に共通するようです。
また、同じ香りでも主成分以外の微量な成分が作用することも考えられます。精油に含まれる成分は一種類だけではないからです。
いろいろな作用例
強壮作用…身体の様々な機能を元気にする作用。
去痰(きょたん)作用…痰を切って排出を促す作用。
抗菌作用…細菌の増殖を抑える作用。
収れん作用…皮膚を引き締める作用。
消化促進・食欲増進作用…胃や腸の消化活動を促して、食欲が出るようにする作用。
鎮静作用…神経の高ぶりを鎮め、心と身体をリラックスさせる作用。
鎮痛作用…痛みをやわらげる作用。
保湿作用…皮膚の潤いを維持して乾燥を防ぐ作用。
ホルモン調節作用…ホルモンの分泌を調整する作用。
利尿作用…尿の排泄を促す作用。
ここにあげた作用はほんの一部にすぎません。他にもいろいろな作用を期待できるのがアロマテラピーの世界。とても奥が深く、知れば知るほど興味がわく不思議な世界です。
精油の製造方法
画像出典元:https://www.t-tree.net/factory/index.html
水蒸気蒸留法
水蒸気で蒸留釜に入った芳香植物の芳香成分を気化させたあと、冷却されるうちに液化して精油と水に分かれます。これが水蒸気蒸留法です。
ここで分かれた水はただの水ではなく、水溶性の芳香成分が微量に溶け込んだ芳香蒸留水で、ローズウォーターやラベンダーウォーターなどとして使われます。
圧搾法
多くは柑橘類の果皮からとれる精油を得るときに使われる方法がこの圧搾法です。
昔は手で果皮を搾りスポンジに精油を吸い取って回収していましたが、現在は機械で圧搾して遠心分離することで精油を得ることができます。
この方法は低温圧搾(コールドプレス)といって、熱を加えないことから精油成分の変化がほとんど無く、自然のままの色や香りで精油を得ることができます。ただし、柑橘類は常温保存で変化しやすい成分が多く含まれるので劣化が早くなります。
揮発性有機溶剤抽出法
石油エーテルやヘキサンなどの揮発性の高い有機溶剤を使って芳香植物から精油を得る方法です。古くからおこなわれていた油脂吸着法に変わって利用されるようになりました。
水蒸気蒸留では、熱や圧力、水分によって精油成分が壊されてしまうようなデリケートな植物に使われる方法です。温めた揮発性の溶剤に原料植物をいれると、精油成分が他の物質と一緒に植物から出てきて固り、コンクリートと呼ばれる物質になります。コンクリートにエタノールを作用させて精油分を分離した後、低圧をかけてアルコールを蒸発させて精油を得ます。
こうして得られる花の精油をアブソリュートといいます。ローズやジャスミンといった繊細な花に使われる方法です。
また、同じ方法で主に樹脂などから得た芳香成分をレジノイドといいます。レジノイドは芳香成分を持続するための保留剤としても使われます。
精油の基礎知識【作用と製造法】で学んだこと
精油に含まれる成分は精油ごとに違うため、それぞれの精油にそれぞれの作用があります。また心と身体にはたらきかける作用の種類は多岐にわたっていて、アロマテラピーの奥深さがうかがえます。
精油の製造法も精油の得られる部位によって異なっていて、水蒸気蒸留法・圧搾法・揮発性有機溶剤抽出法など、適した方法が使われます。
作用も製造法もここにあげたものだけでなく、まだまだ他にもあります。全部あげていくとアロマテラピー検定までにすべての勉強が終らなくなってしまうので今後の課題にとっておくことにしましょう。